時間について

2024年になった。

 

日本に帰ってきてもうすぐ10年が経過しようとしている。

 

年齢も36歳になり、最近色々考えることがある。

 

体感として、自分の人生が折り返しに差し掛かかったと思っている。

 

自分のやるべきことは何か?

 

そんなことをよく考えるようになった。

 

これまでは、楽しそうなこと、やってみたいことを何でもやるような心持ちでいたのだけれど、時間は有限である。

 

年齢を重ねるにつれ、仕事以外にもやらなくてはいけないことが年々増えていっている。

時間は有限だということを噛み締めている。

 

その中で、自分は何をすべきだろうか?

 

就職するときに、自分は何に興味があるのか?を突き詰め、色々な選択肢がある中、

 

自ら海外で働くことを選んだ。

 

周りにもそんな人はいなかったので、完全に未知な世界であった。

親にも当初はあまり賛成はされなかったが、多分、親も自分を止めたところで、行くことはわかっていたのかもしれない。

なので、決めた後はとても応援してくれたし、海外まで会いにもきてくれた。

 

結果、あのときに自分の意思で海外に就職したことは本当によかったと思えるし、

一生語ることができる体験ができた。

 

今はその時の感覚と似ているようで、似ていない。

 

自分は残りの人生で何をすべきだろうか?

 

一人の人間ができることなんて大したことはない。

 

建築をやっていると、毎度痛感する

 

その中でも、一個人として何か一つ何か残せるとしたらということを考えている。

 

おおよそ、自分の中では答えは出ているので

 

今年はそれに向けて着々と準備していきたいと思う。

 

 

 

 

語り継がれる建築を目指して

もう5年程携わっている、文化施設のリニューアル工事。

まちの歴史が積み重なって新たな建築となる。

そこにはひとり、ひとりの物語があり、その集合体こそが

まちの文化となる。

これまで、果てしなく、険しい道のりが続いていますが、ようやくここまでたどり着けました。

まずは年度末までもうひと踏ん張り。

 

 

 

最新技術と伝統技術

現在進めているオフィスプロジェクト。

最近導入された3Dプリンタで梁を作成。

CGの世界や3Dプリンタの世界はどこまでも終わりがない。

部材もどこまでも長いものを表現できるし、重力を感じることもない。

 

実物の建築と物理的な乖離があるということを認識しながら最新技術と向き合っていかないといけない。

 

建築はどこまでいっても人の手でつくられる。

物にも大きさと重さがある。

 

建築をつくることは、これらと向き合うこと。

 

最新技術と伝統技術を掛け合わせて、未来へむけた新しさを追求していきたいと思う。

 

 

新しいこと、古いこと

新しいという状態はどのような状態か。

古いという状態はどのような状態か。

 

新築主義における日本でも、古さへの享受はどこかにあると思う。

 

古さを纏った(まとった)新しい建築とはどのような建築か?

 

それは古さというよりは、時間を纏った建築と呼ぶべきかもしれない。

 

時を纏う建築。

 

これからの僕のテーマになりそうです。 

 

 

門と建築

立地や要望の特性上、寺院の顔となる門がつくれない中で、寺院の佇まいとはどのような振る舞いか?

私たちが建物の用途を認識するときに何を見て、それはお寺と呼んでいるのか?

そんなことをモヤモヤと考えながら完成したプロジェクト。

 

現代の肘木ととりあえず呼んでみることにする。

 

 

 

再会できる建築

青森県立美術館 設計:青木淳

十和田市現代美術館 設計:西沢立衛

 

ちょうど10年前、大学の同じ研究室の同級生と一緒にこの場所に来た。

その時は冬で、雪景色に埋もれた姿が鮮明に記憶に残っている。

 

10年ぶりにこの地へやってきて、建築の見方や見る場所は変わってしまったのだけれど、何か言葉にならない感情や記憶が一瞬、蘇ってきたような気がした。

 

2回以上訪れることができる建築はおそらく多くない。

遠方や海外なら尚更。

 

この場所に3回目来ることがあるのかどうかはわからないが、きっと3回目見たときも違う見方ができるのではないだろうか?

 

そんな色々な見方ができる建築は多様であり、良い建築だと言って良いと思う。

 

八戸市美術館 設計 :西澤徹夫建築事務所+PRINT AND BUILD+森純平

 

最新の美術館にも訪問。

美術館に限らず、色々な公共建築物が公民館化してきている。

地域の人々が交流できる場所が求められている。

インターネットではカバーしきれない部分が明らかになりつつある。

この建築も2回、3回訪れ、発見のある建築になっていって欲しいと思う。

 

 

 

古典の先へ

旧 猪股邸  設計 吉田五十八

脈々と続く日本建築の様式。

古典をただ守り続けると、その時代の生活に馴染めずにきっと廃れてしまう。

ただ、木の良さ、畳の良さ、庭園の良さはきっと日本人のアイデンティティとしてどこかに組み込まれてるような気がしている。

畳と言ったらおおよその大きさ、肌触り、香りを想像できるように詳しく説明しなくても通じる温度感のようなもの。

 

それを時代に合わせて昇華させている凄さに触れました。