職能について

僕が学生から社会人になるときに、リノベーションという言葉が世に広まり始めた。


そして、それと同時にもう君たちが第一線で活躍するときには必要とされる建築は減る。


日本にはこれだけの空き家や空きビルがあるのだから。


という教えを受けた気がする。


だけど、今は建築設計の仕事はどこの事務所も人材不足で、はっきり言って就職する側はたくさん選べる状況にある。

そして、働いている限りまったく仕事が減ってなくて、むしろ増えている。

体感として思う事は、旧来型の仕事は確かに減っているということだ。

建築家がオレオレデザインをする物件なんてほぼない。



それよりも、組織が抱える問題を建築やデザインで解決したりするような案件が多い。

建築家がどうだかっこいいだろ!という仕事の進め方は今はない。

お医者さんのように、どこが痛いのか?どこが悪いのか?何を希望するのか?を一つずつ紐解いていって

結果、建築ができているような感じ。


そして、さらに求められているのは実現力。

かっこいい絵をいくら描いたって、実際に建たなければお客さんの本当に必要な事はまず達成できない。


バブルから、バブルがはじけるまで中国で体感できたことがじわじわと響き始めている。


どういう状況ならば、実現性がなく、建たないか。

逆にどういった状況を設定できれば、建築は建つのか。


それが何となくだけどわかってきた。


もちろん、積極的な理由で建築を建てない方がその人にとってメリットであればそちらを選ぶべきだろう。

ただ、建築家に何かを依頼するのはきっと何かを一緒につくりたいからなのである。


料理のでないレストランはなんか嫌だし

裁判になって必ず負ける弁護士もなんか嫌だ。

建築を建てたいのに、建てれない建築家も何か嫌だ。

なので、建築が建てれる建築家に僕はなりたいと思う。