Álvaro Siza の建築

ポルトガル レサのスイミングプール(Álvaro Siza )

ポルトガル レサのスイミングプール(Álvaro Siza )



途中までしか書けなかったシザ建築について。

数年前のポルトガルに行った時の写真を引っ張り出して再度復習。


シザ建築は訪れる前までは白く何か幾何学的な建築だな程度にしか知らず、

ポルトガルも当初予定には入れてなかったのだけど、少し時間ができたので、スペインのコルドバに行ったついでに行ってみようと言う感じだったけど、

思いのほかというか、いろんな外国の都市のなかでポルトガルポルトという都市が一番好きな街にランクインしたという

結構自分にとってけっこう大切な体験の一つでもあります。

レサのスイミングプールはシザにとって初期の作品で今までみた建築の中で一番自然と調和していると思った作品。

わざわざユーラシア大陸最西端の地まで行った甲斐があった。



まず、シザの建築設計手法としてシーンのスケッチから建築をつくるというスタイル。

ある一点に立ったときに見えるシーンによって壁の位置や開口部の位置が決まっていって

いくつものシーンがかさなり全体が出来上がっている。

よって単純な幾何学的な立体でで構成されているように見えるプランは実はすごく複雑で

モダニズムのようなシンメトリーさをあまり感じない。

微妙に壁が曲がっていたり、微妙に床が起伏していたりなどなど多数。

だから一方向から写真を撮って、反対側から写真をとると同じ空間の写真とはわからなくなるほど。

上海の美術館に展示してあったたくさんの模型も、そのシーンの組み立て方によってボリュームや開口部が少しづつ変わっていっていた。


次に特徴的なのがワンルームの構成。

基本的に部屋と部屋をつなぐところに建具がない。空間の間仕切り片も

壁の高さや向き、厚みによって繊細にコントロールされている。

一つ目の特徴である「シーンからつくる」ことで、内部空間の体験は凄く複雑になるのだけれど、

ワンルームなので、迷わずぐるっと一周できる。

そのワンルームの中に極端に天井が低い場所や、極端に高い場所がちりばめてあり、

ワンルームもつくり方によってはこんなに豊かになるのだなと感じたのでした。


シザ建築を紹介したサイトを色々見比べるとやたら「詩的な〜」という表現を目にする。

それは色々な場面がまるで一つの物語のように繋がって体験として残るからなのかもしれないと、勝手に解釈しました。


最後に自然光の取り入れ方。

内装はほとんどが白い大理石で構成されていて、大面積で間接光を取り入れることで、

光が全体に拡散して、霧のようなどこかふわっとした光の感じ方をする。

ポルトガルと上海の美術館を比べたときに大きな違いを感じたのは

その光の元となる空。

ポルトガルの空は日本の青空よりももっと青が深いのに対して、

上海、杭州の光はスモッグの影響もあって曇り空がほとんど。

だから、その光の体験は上海の時は少し薄暗く感じた。

空の建築への影響力は偉大です。


教会建築もヨーロッパで見るのと、日本で見るのも空や光の種類が違うから全然異なるのと同じで

社寺仏閣建築が日本で荘厳な雰囲気を醸し出すのは実は日本に適した光の取り入れ方をしているのかもしれないと

仮設を立てた上で、今後日本の古建築を観察していこと思いました。

帰国後ボスからシザ建築はモダニズムのカウンターという話しを聞いてしっくり。


美術館の展示も椅子の歴史を紹介していて、大好きな椅子の一つであるTHONET No.14の展示を見れて個人的に大満足。

いつかこの椅子を自分で購入できる日を夢見てまた頑張ります。

皆さまも機会があれば是非。