2012

先週、所属している事務所の忘年会を終え、もう時期的にはクリスマスなんですが

何か僕の中では気持ち的に2012年はもう終わりつつあります。

なので、今年一年を振り返ります。※長文になります




まず、今年は環境が変化した大きな一年でした。

そして「迷い」の多い一年になりました。



これまで慣れ親しんできた福岡県を離れ、海の向こう側の上海に来て、

理由をよく聞かれて、

その時は今中国は日本に比べて景気がよくて建物がたくさん建つからとか言っていますが、

上海に来た理由なんて「いきおい」以外の何者でもありません。

むしろ「いきおい」しかなかったと思います。



それは、時と場合によって必要なことであると思っていて、

そのときはそれがあってよかったと今は思えます。


そうじゃなかったら上海に来れてないですから。



たぶん、小学生の僕が、今の僕が上海にいることを知ったらびっくりするでしょう。

大学に入ったときも、まったく想像していませんでした。w


そしていざ、上海に来て見ると当然、理想と現実のギャップに遭遇するわけです。
特に今年はその連続でした。




まず、「中国で建築はなかなか建たない」ということを知りました。


正確には日本に比べて建つ可能性が低いといったほうがいいかもしれません。

日本だとかなりの確立で設計事務所に入ってくる仕事はよっぽどな理由がない限り

建てることが前提で仕事が来ます。


でも中国ではまだ開発の内容が正確に決まっていない状態で土地を確保するための提案(建つ保障はな

い)や、その事務所がどのくらいの仕事ができるのかを営業するための仕事、営業設計というものがあっ

て、これも当然建つ可能性が低いです。


年間80件近いプロジェクトを仮に受注したとしても実際に建つ物件は4〜5件というのが現実です。

当然、その4〜5件というのは規模でいうと日本では考えられないものばかりです。


実際の話はさておき、一番注目すべき点は、

それでもいくつもの設計事務所が成り立っているということ。

これはアイディアに対する対価があると捉えるべきなのか、

日本ではあまり考えられなかった状況です。

私たち、あなたは何で稼いでいるのでしょうか?


お金とその対価がよくわからなくなりました。




次に、先日Zaha hadidが東京の新国立競技場のコンペに勝利しました。

しかし、そこで獲得したものはデザイン監修の権利を獲得したのであって

実際につくるのはまた別の設計事務所、ゼネコンになります。



中国で外国人(僕のいる設計事務所も含めて)は必ず設計院という会社とともに仕事を進めていきます。


外国人の事務所が単独で正式な図面を直接発行する事はできず、どんなに技術的に完璧な図面であって


も、図面一枚一枚に、設計院のハンコをもらわないと、申請や施工で使用できる図面になりません。


だいたいが「デザイン・コンサルタント」を名乗りながら活動しています。


多くの外国人事務所が、コンセプトデザインを描いて設計院やディベロッパーに提供するという仕事を


しており、本当に設計をしているのか疑わしい状況と言えるかもしれません。



日本で長年働いていた先輩がうちの事務所には数名いて、

よく言われるのはそういう状況はあまり日本では考えられないということです。



これは国ごとの「建築設計事務所のありかた」が違うので、

どちらがいい、悪いという比較にはならないと思います。

僕がたまたま最初に来た場所がそうだったということだけだと思います。


デザイナーや建築家とは何をする人たちなのかよくわからなくなりました。






昨日は上海にいる87年生まれの会の集まりにお誘いを受けたので参加してきました。

そこには自分と同じ年齢で様々な職種の人がいました。


中にはもう自分で会社を複数持っている社長もいます。

上海に来た理由はそれぞればらばらだけど、みんないい意味で肉食系です。

そして「語学」と「コミュニケーション能力」が堪能。


それは日本人だけに限らず、

上海にいる中国人や欧米人は3カ国語をだいたい最低しゃべれます。


僕はそんな状況を目の当たりにしたときにいつも焦り、

それが今年の語学を勉強するエネルギーへと変わりました。

まだ中国語は小学生以下だといつも中国語を教えてもらっている人には言われますが

めげずに勉強を続けたいと思います。




自分に今できることは何があるだろうか?




これまで書いてきたように、対比から見えてくることはここに書ききれないほど他にもたくさんありま

すが、一番自分に言い聞かせたいのは周りがどうとかじゃなくて、自分はどうなのか?ということです。

そして、選んだ環境で何を獲得しようとするかだと思っています。


たぶん、否定から物事は始まらない。




結局その様々な価値観すべてを網羅できるわけではないので、その中からどのカードを選ぶかが次なる行動に変わっていくはずです。




とにかくこの一年はこれまでまったく知らなかったことをたくさん知ることができ、

そして教えてもらった年であり、それと同時に自分がいかに無知であったかを気づかされ


自分はその様々な価値観が存在するなかでどのように生きたいのかを考えさせられる一年になりました。


これは上海に来る前に抱いていた理想通りでした。



やっぱり色々なものを知らないと迷いすら生まれないので、

これが今年一年、一番の財産だと思います。



こういった状況にめぐり合えたのも、やっぱり周囲にすばらしい人たちに恵まれたからであって、

事務所の先輩や今一緒に住んでいる2人をはじめとして、

こんな自分にかまってくれる人がいてくれたからだと思います。


そんな人たちへ感謝の気持ちを忘れずに2012年を振り返り、2013年へ向けて動き出そうと思います。


2013年は「できること」をたくさん増やしていきたいと思います。


ありがとう2012年。