無垢のスツール
以前検討していた、スツールが完成しました。
担当していた住宅のお施主さんが立派な大黒柱を購入され、建材として必要な部分を確保したあと
その材料が少し余った為、大工さんにご協力いただき制作しました。
このスツールを制作するにあたって、
・215mm×180mm×高さ830mmの材料を極力無駄なく使うこと
・大工さんが制作すること
・転倒しにくい形態であること
という条件のもと、様々な検討を重ね、この形に至りました。
立派な一本の行者杉は切断面によって様々な表情を持っており、面によって肌触りも異なります。
構造、意匠、構法が一体となり、一連であることによってできるデザインを目指しました。
ひとまず、お施主さんに喜んでいただけたので、ほっとしています。
この仕事をしていると、自分のデザインに対する姿勢を問われることが多々あります。
ものづくりをするにあたって自分が大切にしている部分というのは
構造の為の構造ではなく
意匠の為の意匠ではなく
構法の為の構法ではなく
それらがどれ一つ欠けては成り立つことはなく、一連のものとして関係しあって成り立つようなものではないかと気づきました。
建築は条件によってもっと複雑な要件が絡み合ってくるので、これが全てとは中々言い難いですが、
自分が検討を重ね至る、ある到達点というのは、なにかそんなもののような気がしています。
すごく小さなプロジェクトですが、自分には大きな糧となりました。