想法

「プロフェッショナルアイディア。」小沢正光 著 

という本を読みました。


大手広告代理店のディレクターである著者の一つの作品をつくるまでのプロセスを紹介した本です。


一応、建築学生である自分が読んでいても、とても共感できる箇所、自身を見直す機会を与えてくれる箇所がたくさんありました。


「ものをつくる」ことに関わったことがある人は、その過程で一度は経験するであろうと思われる場面が


この本を読むとストレートに頭の中に思い浮かぶような、とても内容が整理された内容という印象を持ちました。


名前は忘れてしまったけど、ある、お笑い芸人は「生活すべてがネタになる」となにかのテレビ番組で言っていたことを思い出しました。

文中にあった言葉でいいなと思ったフレーズは「アイディアの勝負ではつねにチャンスが平等にある」でした。


自分の何気ない生活のなかでもおそらくオモシロイことはたくさんおきていて



そこに気づけるかどうか

覚えていられるかどうか

整理できているかどうか

考え続けているかどうか

カタチにできているかどうか

自分以外の人に伝える事ができるかどうか



によってそれが、一瞬の気づきで終わるのか、なにか別のカタチをしたアイディアになるのかが決まっていくのではないかと思いました。

これは突然できることではなくて、きっと毎日の積み重ねによって生まれることだということも同時に伝わってきました。
おそらくどの部分が欠けても最後に残るものがアイディアにはならないのではないかと思います。

共感した部分は上記のような内容で、今回は逆に少し疑問に思った部分もあったので書きたいと思います。

106ページの
いまはこういう時代だからこうでなければ当たらないな...という部分。


ここは建築と広告では少しニュアンスが異なってくるのではないかと思いました。


当然、建築にもそういった「時代性」という側面はあるとして

逆に、たとえば何十年か前の建築雑誌を見て「美しい」と思える建築も存在するというのも事実で

そういった建築が「強い、芯のある建築」ではないかと最近思います。


時間や時代に耐えうる建築というのが、そういった流行のさらにもっと上の次元で存在している気がします。


そういった建築は「名作」と呼ばれ、たくさんの人に愛され、何世代も先へ伝えられます。

名作のエッセンスは、空間そのものであったり、その建築に用いられた構法であったり、素材であったり、理論であったり様々ですが...


それは、音楽や映画や絵画などにも言える事ではないでしょうか?

目的がすべて時代性に収束してしまう事は少し危うい気がしました。



もしかしたら、その建築をつくった人は、その建築が完成するころにはもうこの世に存在していないということもあるわけで、制作過程と完成にすこし時間がかかる というのが建築の特徴なのではないかと思います。


時代性と歴史性と先見性を行き来しながら...



そういう事を自分にも言い聞かせつつ、建築に励みたいと思います。