もし魚だとしたら

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」読了

4つの中編小説からなる小説。


売れないバンドが解散間際につくった曲、フィッシュストーリーには一切の音が途切れた

沈黙の時間が収録されていて、その音のないCDはのちに世界を救うことになる。

街を出歩いていて、たまたま目の前の人の格好と、そこをすれ違う人の服装がまるっきり似ていたり、

絶妙なタイミングで鮮やかな色彩がコマ撮りしたあるワンシーンのように

一つの場所に重なるような時を目撃することがたまにある。

この物語はそんな感覚に近かった。



ある物体を構成する電子はそれぞれ「スピン」とよばれる向きを持っていて

多くの電子が同じ向きになると、やがてその電子の集まりは磁石になる。

磁石とは反対に、スピンの向きがバラバラのまま固まってしまうと、それはガラスになる。

ほんの些細な違いで物体はまったく別のものに変わってしまう。



この物体に起きている現象と、僕たちの身の回りで起こっている出来事に共通項を見いだすことは

一見、まったく途切れた話に思われるかもしれないけど、

そのよく目撃するコマ撮りのワンシーンとこの物体内で起こっている現象は結構同じことだと思う。

おそらくスケールの違いでしかない。



「fish story」=ほら話

うそのようだけど、実際に僕らの周りでいつか起こる本当の話。


そんな小説です。


あ、色々と世間では騒がれていますが僕は無事です。

心配してメールくれた人、ありがとうございました。

意外にも周りの風景はいつもと変わりません。

なので、僕はいつものマイペースな感じでやっています。

ではでは。