ねもは EXTRA 中国当代建築
弊社のボスのインタビューが掲載された現在の中国建築事情をまとめた「中国的建築処世術」の著者の一人である市川紘司さんが最近出版された中国人建築家に焦点をあてた「ねもは EXTRA 中国当代建築」読了。
これまでありそうでなかった中国人建築家を特集した日本語の本。
建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞を中国人で初めて受賞した王澍の特集をはじめとして見所が満載。
巻頭での隈研吾が述べていた中国で建築をつくるにあたって、日本的な綺麗につくるアプローチではなく、中国の施工精度の悪さや、
材料の規格の不揃い、施主への対応など中国流をそのまま引き込んで設計を進めるほうが中国で面白い建築ができるといった言葉はかなり共感できた。
日本も今は職人文化によって支えられている精度の高い作風が良しとされている風潮は今日建築業界でも問題になっている人手不足による移民制度によって今後揺らいでゆくのかもしれない。
そうなった時に、こういった思考というのは日本でも生きてくるのではないだろうか。
さらに、この本の中に登場する中国人建築家は「中国」という広大な土地全体を網羅する建築解とうよりは、
北京、杭州、深圳といった都市別の特殊解をまずは生み出そうとしている印象を受けた。
これは日本の地域性に通ずるものか。
北京オリンピック、上海万博と大きな国家プロジェクトの際はヘルツオーク&ド・ムーロンや
CCTVを手がけたレム・コールハース率いるOMAといった外国人建築家の活動の舞台であった中国が
次第に中国人がつくる都市、建築にシフトしていっているというのが今の中国の状況ではないだろうか。
おそらく、数年後にはもっと大きな変化が起こり、「チャイナモダニズム」という国家を象徴するようなスタイルが誕生しているかもしれない。
それは一つの統一された共産主義的なスタイルではなく、
各地域のスタイルが同じ国家の中に乱立しているようなカオティックな状況そのものなのかもしれない。
その初期が张永和や王澍であったと多くの人が知るときが近いうちに来るだろう。
外国人として働いていても中国に「建築バブル」という言葉はふさわしくない状況になっていると体感的に感じる。
明らかに次の段階へシフトしていっている。中国の成長は有無を言わさず圧倒的なスピードで進んでいる。
おそらく、今回登場した中国人建築家は日本ではあまりメジャーではないのかもしれないので、ここに取り上げられた建築家とそのHPを掲載しておく。※HPが見つからなかったものに関しては、紹介HPを参照。
これから中国に来ようと思っている人はこんな人達が今中国にいるという事を少しでも知ってもらえる機会になればと思う。
中国人建築家一覧
・刘家琨 Liújiākūn
http://photo.zhulong.com/jigou/detail110.html
・张永和 Zhāng yǒng hé
http://www.fcjz.com/
・崔恺 Cui kǎi
http://www.cuikaistudio.com/
・都市实践 URBANUS
http://www.urbanus.cn/main.php
・李晓东 Lixiǎodōng
http://www.lixiaodong.net/home.asp
・王澍 Wáng shù
http://photo.zhulong.com/renwu/detail504.html
・王繇 WangYun
http://www.fronti.cn/
・馬清運 Mǎqīngyùn
http://www.madaspam.com/
・张雷 Zhāng léi
http://www.azlarchitects.com/main/
・柳亦春 Liǔyìchūn
http://www.deshaus.com/home.html
・张轲 Zhāng kē
http://www.standardarchitecture.cn/oldflash/index.html
・马岩松 Mǎ yánsōng
http://www.i-mad.com/
・华黎 Huá lí
http://photo.zhulong.com/renwu/detail499.html
・李虎 Li hǔ
http://www.openarch.com/
・Neri&hu
http://enthepractice.neriandhu.com/