都市へのインパクト


海外コンぺ、社内コンぺが終わり今日はスタッフで現場巡り。

完成間近のオフィスタワーの物件はファサード部分の照明が取り付けられたが、提案していたディテールは簡略化され、材料も安いものに勝手に変えられていた。

中国建築あるあるだが、こうやってコストが安いものに現場で変えて施工業者が儲けようとすることはよくある話。

これは抗議しなければいけない。


屋上の清掃も終わっていて建築側から高架を見下ろす。

高架からの見えはいかがなものか。

スケールが大きいので、こういう建物は様々な視線へ配慮が必要とされる。



現在の上海市内はこの物件も含めて改修物件が本当に多い。

クリエイティブオフィスの創意園も平米あたり1元から2元の工場跡地がデザインという付加価値を付けることによって平米4元から5元、最近のものでは6元くらいにまで上がるという。


この数字だけで見ると対したことがないように思われるかもしれないが、純粋に土地の値段が2倍から6倍へと変わるということは結構すごいことなのである。


デベロッパーは投資額が少なくて収益を上げやすいので当然、創意園の開発を増やす。外国人が多い都市というのはこういった産業が生まれやすい。

3年前に言われていたものだけでも200件以上の創意園が上海にあったらしいので、今もたくさんの創意園物件が仕事として入ってきている様子を見れば、現在はさらに増えていることが容易に想像できる。


この開発手法は空き家が増えてきたから、リノベーションして家賃を安くしてデザイナーに入居してもらいましょうという事業モデルとは少し違う。


産業転換により使われていなかった工場が高級物件になるような変化の仕方といっても過言ではない。

都市と産業がうまくマッチングしている例の一つだと思う。

日本の建築教育において「都市への視点や配慮」がよく議論に上がっていたが、上海ほど建築が変わって賃料が上がり、住む人が変わり、訪れる人がこれだけ短い期間の間で変化する都市は現在、世界中にどれほどあるのだろうか。


ベタな話かもしれないが、建築が都市へ与える影響を初めて上海を訪れた2011年から生々しく目撃してきたように思う。


どこまでこの都市は成長をつづけるのだろうか。


こちらは設計チームには入っていなかったけど、今進んでいるサービスアパートメント。


各部屋の天井高は高く、開口も上部にあるので、入った瞬間にほどよい明るさがあり、実際の床面積よりも広く感じる。こちらも完成が楽しみ。


上海はもう半袖で暮らせる季節に入ってきました。