茶の本
岡倉覚三著 「茶の本」
覚三という本名よりペンネームの天心のほうが現代には知られているかもしれない。
日本建築を考える時に必ずといって良いほど茶室のはなしに至る。
物質的なことや精神的なことも含めて日本建築の要がここに詰まっている。
茶道の要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。
と記されているように
完成されたものよりもその過程を大切にしたりする日本独特の考え方は
現代に始まったことではなく、何か日本人の根本に刷り込まれている精神なのだろう。
また、物質よりも精神的なものに重きを置く考えについても
「室の本質は屋根と壁に囲まれた空虚なところに見いだすことができるのであって、
屋根や壁そのものに見いだすものではない。」とあるように
床の間を特別な場所に感じたり
鳥居や門をくぐった先をその前の場所と異世界に感じることもなにか日本人的な感覚なのかもしれない。
外国から見た日本文化、日本らしい文化とはどこかこの茶道的な考えに基づいている
のだろう。