ヨオロッパの世紀末

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吉田健一著 「ヨオロッパの世紀末」 

 

主に西洋の文学の成り立ちについて書かれた本。

所々に美術や建築の話もでてくるので興味深かった。

現代において一言でヨーロッパといっても、色々な国が含まれるが、

ここで述べらているのは主にギリシャ、ローマ。

ヨーロッパ文化がヨーロッパ的であるためにギリシャの歴史や文化が欠かせない。

 

前述した「茶の本」には日本の文化的な背景には「不完全さ」が内包されていると書かれていたのに対して

 

ヨーロッパ的なものは「科学」だと記されている。

 

科学とは一つ一つの事実の積み重ねであって、そこには「確かさ」や「正確さ」があり

結論がある。

 

つまり、日本的な「不完全さ」とは違う価値観の中で文化が醸造していったことが分かる。

 

そんな中、文中でも触れられている、それまで相手にもされなかった日本文化の中で「浮世絵」がヨーロッパの世紀末の印象派の画家に影響を与えた事実とその背景は非常に興味深かった。

 

そして現代の日本文化が外国の目で見た時にどんな見られ方をしているのかは根本的にこの時から変わっていないのだと気づかされる。

 

海外に向けて何かを発信して評価を受けようと思うと

日本人が日本文化を見る目と、

欧米人が日本文化を見る目は、

根本的に異なるという事実を認識しておかなければいけない。

 

海外で外国人になった日本人ではなく

日本人として活躍している芸術家の共通している点が少し垣間見えた気がした。